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ダブルシェフ率いるチーム全員で紡ぐ、【SALONE TOKYO】のおいしさに込める想い
2024/10/01

ダブルシェフ率いるチーム全員で紡ぐ、【SALONE TOKYO】のおいしさに込める想い

ダブルシェフ体制を取ることで、伝統的なイタリア料理に2人のシェフの独自性を組み合わせ、お客様に新鮮な驚きと感動を与え続けている【SALONE TOKYO】。最新のリストランテであるために、2人のシェフはどのように料理と向き合い、お客様へ「おいしい」を届けているのだろうか。

ーーーこれまでどのような経験を積んできましたか?

青木一誠シェフ(以下、青木シェフ):都内のイタリアン数店舗で経験を積み、2013年より渡伊し、イタリアのピエモンテ州のレストランで約3年半修業をしました。帰国後サローネグループに入社し、横浜にある【SALONE 2007】のシェフを経験した後、2022年7月より【SALONE TOKYO】のシェフを務めています。

金優和シェフ(以下、金シェフ):都内のフレンチやイタリアンを数店舗経験した後、2018年にサローネグループに入社しました。【SALONE 2007】ではシェフの補佐として5〜6年ほど料理の技術を磨いた後、2024年4月より【SALONE TOKYO】のシェフに就任しました。

2人分の個性が表現された料理を楽しめる

ーーー料理を作るうえで、どんなことを大切にしていますか?

青木シェフ:おいしい料理を作ることは当たり前ですが、おいしいの先にどんなものをプラスするかということを大切にしています。例えばハッとした驚きがあるとかシェフの考え方が詰まっているとか、そうしたことを一皿一皿表現しています。

具体的に重視しているのは「余計なものを削ぎ、どのように食材を活かすか」ということです。料理の主役の魅力をわかりやすく伝えるために、主役以外の分量を減らすなど工夫しています。特に【SALONE TOKYO】のシェフになり、全国各地の産地へ積極的に視察に行くようになってから、現地での体験が食材を活かすアイディアを考える源泉となっています。

金シェフ:私は食材の組み合わせ方や表現方法を工夫し、お客様が驚きを感じたりわくわくしたりするような料理を作りたいと思っています。例えば10月のコース料理で試作段階なのが、しめ鯖に旬の柿をガリのように添えた前菜の一皿です。ガリの甘酸っぱさとサッパリ感を乳酸発酵させて、酸味と旨味が増した柿と新鮮な状態の柿を組み合わせて表現しようと思っています。

青木シェフ:サローネグループはダブルシェフ体制をとっており、食材選びから料理作りまでシェフに任されているため、各店舗でシェフ2人分の個性が発揮された料理を楽しめるのが魅力ですね。

産地視察はアイディアの宝庫。シェフ自ら食材を厳選

ーーー食材選びで視察をして、印象に残っている産地はありますか?

青木シェフ:全国各地に視察に行っていますが、どの産地での体験も印象に残っており、本やインターネットで調べることの何倍も刺激になりますね。現地で得られることが料理の一番の発想の源です。

最近特に印象的だったのは、市場で流通することの少ない規格外の野菜を扱っている静岡県富士宮市の生産者の方との出逢いです。例えば「伏見甘長」は通常緑色の状態で出荷されますが、熟して赤くなるとフルーツのように甘くておいしくなります。その生産者の方は「野菜の一生の中で、知られていないけど実はもっとおいしい瞬間がある」と提案してくださり、インスピレーションが沸く刺激的な体験となりました。

ーーー実際に産地の食材を使ってどのような料理を提供していますか?

金シェフ:9月のコース料理の中で手打ちパスタを用いた一皿は、7月に北海道で視察した体験がベースとなっています。北海道の十勝産のロイヤルマンガリッツァ豚と、同じく十勝で生産されたマッシュルームを使用しています。

豚肉は濃厚な赤身と口の中でとろける脂が特徴です。生産者の方は豚を広い土地で放牧させ、肥料にもこだわっていて、育て方が丁寧だとやはりおいしさも違うのだと実感しました。

ーーーほとんどの食材は産地直送で取り寄せたものを使用していますね。

金シェフ:東京だからこそ、全国各地の食材を取り寄せて料理を作る必要があり、産地直送の旬な食材を使ってお客様に料理をご提供できるのは、都心のレストランならではの魅力だと思いますね。

青木シェフ:産地で直接食材を見たり生産者の方とお話したりして、面白いと思ったら実際に取り寄せて料理にどう活かすか検討を重ねます。サローネグループは様々なことに挑戦させてくれる風土があるので、色々と試行錯誤しながらクオリティの高いものを追求できています。

ーーー精力的に視察に行くようになってから料理に変化はありましたか?

金シェフ:青木さんとは横浜の【SALONE 2007】から一緒にやってきていますが、全国各地に視察に行くようになってから、青木さんの料理はさらにパワーアップした印象を受けています。青木シェフの料理は、食べると青木シェフの顔が浮かぶくらい、個性がしっかりと表現されているんです。

青木シェフ:例えば9月のディナーコースで提供している「鳴門マナガツオ炭の香り 鮭川村産黒舞茸のトリフォラートと宍道湖産しじみバターソース」では、夏・秋それぞれ旬の食材を組み合わせて表現しました。

島根県の宍道湖産しじみと、毎年使っている山形県鮭川村産の黒舞茸を使用し、徳島県の鳴門のマナガツオには炭の香りを少々添えています。さらに、すだちを合わせることで、和のテイストも加えました。この料理は特に舞茸がおいしく、しじみときのこの出汁が味わい深い一皿となっています。

その場所、その瞬間のおいしさをチームで作り出す

ーーーどのように役割分担をしていますか?

青木シェフ:コース料理は私と金シェフがメインでお皿を作りますが、キッチンスタッフも含めて誰が調理しても高いクオリティのものを提供できるよう、しっかりと指導を行っています。例えば、材料のサイズや盛り付け方など細部まで徹底しており、重さは0.1グラム単位まで数値化しています。

金シェフ:食材は時期や気候の影響を受けやすく、特にパスタの粉はその日の湿度によって質感が変わります。粉を練っているときの柔らかさなど、数字だけではなくシェフの長年の経験からしかカバーできない部分もあります。

ーーー食材選びから試作ができた後、どのようにコース料理が完成しますか?

青木シェフ:試作ができたら、支配人やキッチンスタッフを交えて一品一品吟味しながら修正をしていきます。その後コース料理としてできあがったら、ワインと合わせて試食会を行い、さらに意見交換を行います。最終調整したコース料理を、最後にサービススタッフも含めたスタッフ全員で味見をして完成です。

金シェフ:毎月この流れで作っており、スタッフ全員が参加してコース料理ができあがっていきます。シェフはおいしい料理を作ることに全力を尽くし、その後は料理を提供するサービススタッフを信じて料理を託しています。

ーーー【SALONE TOKYO】の味は、チームだからこそ成り立つのでしょうか。

青木シェフ:シェフが作るおいしい料理とサービススタッフから聞いた説明、そして実際にお客様が料理を口にした時の驚きから「おいしい」という感覚が生まれ、100%の料理ができるのだと感じています。料理人だけで100%は作れません。

例えば、先述した黒舞茸としじみのコース料理では、昆布としじみの出汁を取り、しじみの出汁から魚の出汁を取って、さらにきのこの出汁もというように、一皿の出汁を作るためにメニューには書ききれない程多くの手順を踏んでいます。

料理提供時には全てを説明しきれませんが、それがむしろお客様にとって「この味は何だろう?」「わからないけど、おいしい」という驚きや好奇心が生まれて、おいしさにつながるのではないかと思っています。

だからこそシェフだけではなく、サービススタッフやワインソムリエを含めたスタッフ全員の力がとても大切だと思っています。

2つの個性を融合させ、より高いレベルへ昇華させる

ーーーこれからの展望を教えてください。

青木シェフ:旬の食材をよりベストシーズンでお客様に提供していきたいです。これまで、産地で食材を手にしてからお客様に提供するまで、試食会などを経て検討する必要性から、提供が視察の翌月になっていました。

しかし、食材が本当に良い状態、その瞬間を使って提供したいという想いがあり、9月のコース料理のポルチーニを用いた一皿は通常提供まで一か月かかるところを旬の時期が始まってからすぐに決定し提供を始めました。

ここまで鮮度を意識した取り組みは、グループ内でも【SALONE TOKYO】がおそらく初めてだったと思うのですが、今後他の店舗でもベストシーズンに寄せた提供ができるような仕組み作りをしていきたいです。

金シェフ:私は、より自分の個性を料理で表現できるようになり「これが自分の作った料理」といえるものを作れるようになりたいです。

以前、勤務したことのあるフランス料理店で、現在はフレンチをベースに日本料理店を開いているシェフがいるのですが、食材の使い方や料理の組み合わせ方が斬新で独自の世界観を表現しています。そこで感動した経験が今の自分の方向性にも大きく影響を与えており【SALONE TOKYO】でもお客様がわくわくする料理を提供できるよう目指していきたいです。

青木シェフ:1人のシェフが提供するだけでは味わえない、2人の個性が発揮された料理を楽しめるのはダブルシェフならではの魅力です。主役をメインに余計なものを省くタイプの私と、様々な食材を組み合わせて重ねることが得意な金シェフは正反対のタイプともいえます。

異なる発想から生まれた料理が波を打つようにコース料理を構成することで、飽きのこないバランスのとれた料理になります。この2人での体制は始まったばかりなので今後2人の個性がフュージョンすることで、もう一段階上に行き、より高いレベルの料理を提供していきたいですね。

ーーー最後に、お二人にとって「おいしい」とは?

青木シェフ:料理として味がおいしいのは当然、それだけではなくお客様の耳に入ってくる情報やお店の内装など、その場所、その瞬間で味わう全てのものが組み合わさり、初めてお客様の「おいしい」という感覚が生まれるのだと思います。

金シェフ:レストランで味わう「おいしい」は日常の食事とは違う、非日常空間で体験できるものだと思います。そのレストランでその料理を食べるからこそ「おいしい」と感じられる。【SALONE TOKYO】でも、ここでしか味わえないおいしさを提供できるよう、これからも料理を追求していきたいです。

東京ミッドタウン日比谷に位置し、高級感溢れるエントランスを抜けると、開放感のあるダイニングが広がり、窓からは皇居や日比谷公園の豊かな緑が臨める。上質でありながらもリラックスできる空間の中で、最新のリストランテの味を追求したイタリア料理とワインで優雅なひとときを楽しめるだろう。

取材・文 / 佐田 優佳
撮影 / 安井 智洋

店舗情報






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