"Txispa is not just a name; it is the txispa that transforms. My teacher used to say: 'Txispa is missing', reminding us that every dish needs that essence that elevates it. That is why we cook with passion, at the foot of majestic mountains, deeply connected to the land where each dish reflects our authentic connection and the beauty in the simple."
"Txispaはただの名前ではありません。それは変化をもたらす「火花」そのものなのです。私の師はよく「ここには Txispa が足りない」と言いました。どんな料理にも、それを高める「本質」が必要なのだと私たちに思い出させる言葉です。だからこそ私たちは情熱を注いで料理します。雄大な山々の麓で大地と深くつながりながら、一皿一皿に私たちの真の結びつきと、シンプルなものの中に宿る美しさを映し出すために。"
メニュー冒頭に掲げられたこの一節のとおり、サンセバスチャン郊外の深い谷に佇む「Txispa」では、エチェバリで10年、スーシェフまで務めた日本人シェフ前田哲郎さんが薪火と自家製和発酵で“火花(txispa)”を散らす。今回1週間かけて巡ったスペインの食旅で、圧倒的No.1のレストランだった。
コースは13時に始まり、気づけば4時間超。窓の外に広がる山並みと薪がはぜる音に包まれる非日常の中で、時間が静かに溶けていった。
余韻を決定づけたのは4皿。
まず、スターターに潜むEEL kabayaki。醤油も酒も使わず、ウナギの頭と骨を焼き、シードルとリンゴだけで煮詰めたタレが脂に絡み、果実の酸と薪香が重なる滋味深さに唸る。
次に、RED PRAWNS。牡蠣を食べ終える頃からゆっくり炙られていた赤海老は、殻を割ると甘い香りが立ち、身はプリッと弾ける旨み。海老の中で人生最高の火入れで、無言で頷きながら食べきった。
次に、TEAR DROP PEAS。焼き目で引き出した涙豆本来の甘さとフレッシュさ、その下のアサリ出汁茶碗蒸しのミネラルがくっきり対比し、素朴なのに忘れ難い。
最後に。FLAN sakuraは、庭の桜葉を塩漬けして香りを移し、村の卵とミルクだけで炊いたプリン。滑らかさとほのかな桜の余韻が見事で、シンプルプリン界の個人的ナンバーワンを更新した。
土地の力強い素材に日本の繊細さと完璧な薪火の温度管理が重なり、最後まで高い熱量を保ったままコースが終わる。
季節を変えてでも、再びこの余韻に浸りたい。
〜当日の全メニュー〜
ST. GEORGE’S mushroom
TEAR DROP PEAS
TAKOQUETA
EUSKAL SUSHI
ANCHOVY
SAYADAIKON
WILD GARLIC
EEL kabayaki
MUSSEL
ANKIMO
CAVIAR tofu
OYSTER, sourdough
TONGUE koji, seri
FERN blewit
RED PRAWNS
TEAR DROP PEAS
KINMEDAI, lettuce head
TXULETA and Salad
born on June 18, 2012
APPLE
WATERCRESS
FLAN sakura